新しいストラテジーへの拒絶と自分のストラテジーへの固執
modified repetitionという、ちょっとユニークな語彙の定着活動がある。
ただ単に単語を10回書く(written repetition)を
少しアレンジして、
"好きな言葉か嫌いな言葉が"
" 目に見えるものか見えないものか"
などのような10のカテゴリーに、
ペアで話し合って単語を分類しながら
10回その単語を書く、という活動である。
いわば、written repetition modified by groping
という活動なのだが、
これを高校1年生にやらせてみた。
その一週間後にポストテストをして、
modified repetition を行ったクラスと
ただ単に単語を10回ずつ書くという活動を
やったクラスとで、どちらがよりよく単語を
記憶保持しているか、調べた。
結果は、modified repetitionをやったクラスの方が統計的有意差をもって記憶保持が高かった( 作業時間は両クラスとも同じ)。
しかしながら、クラスに数名、modified repetitionは面白いけれども、単語を覚えるならば何回も書くやり方のほうが効果的という生徒がいた。実験結果からすると、明らかに誤認なのだが、新しいストラテジーへの拒絶と自分のストラテジーへの固執という根深い問題に突き当たる。
これらの生徒たちに、じつは実験では、
modified repetitionの方がみんな良く単語を
覚えているんだよ、と言うべきか言わざるべきか。
言っても自分のストラテジーを変えることはたぶんしないと思われる。
でも、将来、何かの折に、modified repetition
という活動をやったなあ、と思い出してくれるといいなと思いながら、
実験を終了した。